こういうような判決の言い渡しがあつたものを新しい規定によつて被告人の方で上訴権を放棄したものはどのくらいあるか、つまり控訴期間内に上訴権を積極的に放棄したものであります。それが四百二十七件であります。この四百二十七件の内訳を見ますと、求刑通りの実刑の言い渡しがあつたものについて百三十二件放棄しております。このうち(三)と書いてありますのは検事の求刑以上に重い判決があつたものであります。
天野武一
むしろ直接被告人に会うのでございますから、会うことによつて、被告人の意見、弁解を聞いて、もし先ほどおつしやるような無理な起訴、法律に当てはまらぬものがあればやらないということになり、場合によつては執行猶予の手続も考えられるのであります。そういう点は、この法案の実施によつて著しく改善されるじやないかと私は考えます。
向井周吉
そのことは、この法案の文字に見えまする「必要と認めるときは、」ということによつて示されておりまするが、この字句をすらりと読んでみますると、必要がないと考えれば被告人の陳述すら聴く必要がないもののようにもとれるのでありますが、本来この裁判手続は口頭の略式命令手続とでも申すようなものであつて、被告人の陳述は原則としてこれを聞かなければならないものであるにかかわらず、それすら聞かなくていいのではないかと受取
林信雄
弁護人のほうから犯罪の情状に対する証拠調べを願つて情状に関する証拠調べを順次進めて行つたのでありますが、第五回の公判になつて被告人は突如前言を翻して自分は放火したことはない、あれはみんな嘘だ。
島田武夫
殊に起訴猶予相当を理由とする不起訴処分をも含むものといたしますならば、現行制度の便宜起訴主義を採用しておる建前から考えて、却つて妙味を失つて、被告人に不利益の結果を生ずる心配はないだろうか。又刑事補償を適用するといたしますと、その管轄機関を如何にいたしまするか。不起訴の裁定をいたした検察庁に対する裁判所を管轄機関とするようになるかと思いますが、それを果して合理的とお考えになりましようか。
郡祐一
考えによつては、これは弁護人が頑張ればいかんという、いわゆる考え方も成立つと思いますけれども、そこまで行かなくても、実際問題としてそれによつて被告人の保護が欠けるということはあり得ないのではないか、言換えますれば、弁護人が反対すれば、被告がいいと言つても、それじや困りますということになるでありましようし、それを押切つて被告人がはあこれで結構ですという場合は、それは被告人の意思でいいと思います。
下牧武
従つてそれは半面から見ると、確かに高橋さんのおつしやるように、取調官が自分から戒心すればいいことであつて、自分に言い聞かせればいいことであつて、被告人に言わなくてもいいことではないか、これはごもつともでございます。ただその半面といたしまして、その被告人の地位というものを供述を拒否する権利があるという程度まで捜査段階においてこれを告知する必要があるかないかという問題が一つあるだろうと存じます。
岡原昌男
公判におきましては、完全に当事者制度がとられておりまして、被疑者の被告人側と、従つて被告人と弁護人が一致したその側と、それから原告官の側とが、ほんとうの当事者になつて、それぞれの証拠その他を出し合うわけでございます。ところが捜査段階におきましては、そういう事実が非常に影が薄くなりまして、従て弁護人の関与する程度も少くなります。
岡原昌男
○委員長(郡祐一君) 更に六十条二項の改正に関連しまして、被告人が多衆共同して罪を犯したる者であるときは全面的に勾留期間更新制限の除外事由としようとするのでありますが、却つて被告人多数にかまけまして事件の審理をあと廻しにして訴訟遅延を招く虞れがないかと思うのであります。
郡祐一
被告人の場合と違つて――被告人でございますと、もよりの監獄ということになるのでありますが、監獄は妥当ではないというふうなことで、「適当な場所」ということにいたしたのであります。
次は百六十四条、十四ページの終りの方でございますが、これに次の一項を加える。これは従来証人に対して費用の前払いができるかできないかということが若干問題になつておりました。
岡原昌男
御承知の通り現在裁判官の手不足によりまして、簡単な事件でありましても審理が長引いたり、事件の核心をなかなかつかめないというふうなこともございまするが、今度はこの簡易公判手続を採用することによつて、被告人たちに異存のない事件については、これを比較的に簡単な手続で処理し、割合に問題のある大きな事件に念を入れてこれを調べて行こう、かような趣旨からこれが立案されたものでございます。
岡原昌男
なおこの広島の事件のほかに或いは大分地方裁判所における電報局事件の判決の言渡時における事件、この事件では、事前に地検では被告人奪還を計画しているという情報がございまして、有罪判決直後に傍聴人が一斉に立上つて被告人席になだれ込まうとしたのでありますが、あらかじめ被告人の席と傍聴人の席との間に頑強な裁判所職員十五名を配置しておりましたために、これを食いとめることができました。
岸盛一
かようなことに相なりますると、控訴趣意書に第一審の裁判所の審判の過程において現れなかつた事実を援用できることになりまする関係上、三百九十二條で、これが当然取調べの対象となり、現在のいわゆる事後審という性格が若干くずれまするけれども、いわゆる第一審重点主義が緩和され、事実の真相というものが割合に究明できるのではないだろうか、また情状でについての新たな有利な事情等も援用することができるということになつて、被告人
岡原昌男
とにかくわれわれはこれから法廷に入るが、傍聴人の件についてはあくまでも闘うと言つて、被告人ら全部入廷いたしました。
岸盛一
検察官の起訴状朗読が終つて、被告人の意見陳述に入りますと、廷内の傍聽人のうち何名かが大声で、しつかりやれしつかりやれと叫ぶ者があつたそうであります。そのうち廷内の傍聽人が、南側の窓寄りにいた傍聽人に向つて、被告人席のあいている所を示して、大声で、ここがあいているからここへ入れと誘いをかけ、傍聽人が靴ばきのまま窓越しに入ろうとしたのを裁判官が目撃して、これを禁止したという事実があります。
岸盛一
どこにも見渡しましてさつきもお話がありましたが、違反者を捕えるということばかりを書いておつて、被告人になつた者の利益というものがちつとも書いてないのです。もつともこれは刑事訴訟法によつて運用されるんでしようが、何もその点においてこの法律にないということは非常に不完全だろうと思うのです。
山根眞治郎
○中富証人 これは主として被疑者であり、その後公訴提起によつて被告人となつた高田進の供述に基いて同人の経歴を申し上げます。同人は拓殖大学を中途退学して、逓信官吏練習所を昭和六年に卒業しております。
中富精一
病気によるところの出廷不能による事件の処理不可能ということは、一応肯定できるのでありますが、刑事事件において逃亡その他によつて被告人の呼出上が不可能になる、そのためにたくさんの事案が特に高等裁判所において累積しておるというようなことは、国家治安の上から考えましても、まだ相当な努力を傾注すれば、この事件は法の改正なくしても裁判所自体またこれが検察当局が協力するということによつて解決せられる道があると思
田嶋好文
するものと認めた場合には、最高裁判所が破棄するという点がありますので、この点が実質的には被告人の他の不利益を補つて余りあるものと思われますし、なおそのほかに上告提起期間が五日から十四日に延びること、それから検察官の上告の場合に理由がなかつたという場合には、上告費用の補償が更けられるということ、それから上告判決の訂正判決の制度は認められておるということ、そういうような利益の点もありますので、今度の案によつて被告人
野木新一
たとえばある事実で起訴したという場合に、他の事実が見つかつても、それはむしろ情状として加味しまして、それをあらためて起訴して、またあらためて起訴いたしましても、審理継続中ならば、それは併合審理で同じ判決ができるということでありますから、被告人に特に不利益にはならないと思いますが、一方が上告審を係属しておるというような場合に、また追起訴すると、いきおい別々の判決になつて、被告人に不利益な場合が生じないとも
野木新一
今までの最高裁判所の規則制定の実際をごらんいただけばおわかり願えると思いますが、いろいろの学説、意見が立つにしても、規則によつて被告人の本質的な権利に関する事項をかつてにきめたり、あるいはそれによつて法律を変更したりすることはないのであります。このたびの法案におきまして判決書の簡易化ということで先ほど申し上げた内容のことは、なるほどこの規則によつて旧刑事訴訟法の規定は改正されておりません。
岸盛一
○遠山丙市君 それは第一線でやつておる人としては、あなたの方でおとりになつた調書の真実性というものは、どこまでも貫きたいということは、それはよく分かりますけれども、併しよく公判に参りましてですね、被疑者が被告人と変つて、被告人が調書を否認するということになれば、証拠という関係が、今の新らしい訴訟法では、誠に駄目になつてしまうということですから、余程あなたの方も決心してやらなければならんのに拘わらず、
遠山丙市
それから東京地方検察庁においては、石川という検事が司法修習生に向つて、被告人並びに弁護人側の証人と検察官側の証人とが、同一の事実について違つた供述をした場合には、検察官側の証人が真実を語つておるのである。だから相手は偽証しているんだ、こうしなければならぬというようなことを講義しておるのであります。
梨木作次郎
げるものではありませんが、ただ保護観察に付する旨の裁判をした場合には、刑の執行猶予の言渡しに一種の條件を付することになりますので、一見被告人に對して不利益な改正のように思われますけれども、從來は裁判所が刑の執行猶予の裁判を言渡すのに躊躇いたしたような場合にも保護観察に付するならば刑の執行を猶予してもよいと考えて、執行猶予の判決を致す場合もありますので、実際に執行猶予の判決が言渡される場合が殖える結果にもなり、却つて被告人
遠山丙市